引越しをする時には、荷造りなどの準備で忙しいなかで、電気や水道・ガスなどの利用停止や利用開始の手続き、子供の転校手続き、郵便物の転送手続き、住所変更手続きなど、様々な手続きを行わなければいけません。
その中でも生活をする上での電気や水道・ガスなどの手続きはとても大切になってきますが、それよりも法律で期限が定められている住民票の異動手続きが重要になります。
住む市町村がかわる場合には、今までお世話になった役所へ転出届を引越日の14日前から提出可能となっていて、新しくお世話になる役所へは、転入届を引越ししてから14日以内に届け出ないといけないという期限が決められています。
住む市町村がかわらない場合は、転出届ではなく、転入届が転居届に変わります。
県外への引越しとなると別ですが、近隣市町村への引越しや市町村がかわらない引越しだと、仕事をされている方は何日も休むことができないので、役所への手続きは1日で終わらせたいと考えるのではないでしょうか?
引越し前に手続きをしたいのか、引越し後に手続きをしたいのかは仕事の都合によると思いますが、引越し前に住所変更ができるのかをお話しいたしますので、ご参考にしてみて下さい。
引越し前の住所変更手続き
「引越し前に住所変更はできるのか?」、これはよく聞く質問です。
原則、住む場所が変わっていない(まだ住んでいない)のでできません。
これは法律でも決められています。
転入届は『引越しをした日から14日以内に届け出なければならない』と、届け出る期間が決まっています。
やはり、『引越しをした日から・・・』と決まっているので、引越し前に住所変更は原則できません。
では、引越しをしていないのに引越しをしたと言って、引越し前に住所変更手続きをしたらどうなるでしょうか?
転入届(転居届)が公正証書という文書にあたるため、「公正証書原本不実記載罪」という犯罪行為になってしまいます。
刑罪にあたるので「前科」もつき「5年以下の懲役または50万円以下の罰金」をうけますので、くれぐれも安易に引越し前に住所変更手続きをすることはやめましょう。
ただ、あなたがマンションの購入したり、家を新築したりした場合は、必ずと言っていいほど「住宅ローン」を組まれると思います。
その住宅ローンを融資受ける際の手続きと市町村役場での住所変更についての関係をおはなし致します。
住宅ローンを組んで融資を受ける時には、「融資(借入)を受ける人が、そこに住んでいなければいけない」という融資側のルールが決められていて、それを証明するために、新しい住所での住民票の提出が求められます。
市町村役場での住所変更手続きは、先程お話し致しましたように「引越しをした日から・・・」と法律で決められています。
一方では「住んでないとお金は貸しませんよ」、もう一方では「住まないと住所変更手続きしませんよ」と板挟みにあってしまいます。
①今手許にお金がないのだから住宅ローンを組んでお金を借りる
↓
②そのお金で、お家の購入や建築代金として支払う
↓
③購入や建築できたのだから、新しいところに引っ越して生活する
↓
④引っ越したから、住所変更を手続きする
という流れが本来なのですが、④が済んでいないと①のお金が借りられない。
ということは②の購入等や③の引越しもできない、という矛盾が起こってしまいます。
おかしな話なのですが、銀行等のルールと自治体のルールによって実際に多々起こっているお話しです。
このままでは家は購入などできない、どうしたらよいのでしょうか?
ということで、市町村役場はこの矛盾と事情をよく理解していますので、不実記載と知りえたとしても、実際に住んでいるか確認せずに暗黙的に了承しています。
虚偽の届出をしたら犯罪になってしまいますが、虚偽をしなければ家の購入も建築もできませんので、引越しをしたということで、引越しをする前に住所変更をしている現状があります。